質量の減少と惑星への影響

太陽の中心部で起こっている核融合は莫大な熱エネルギーを生み出していますが、このとき熱エネルギーに相応するだけの質量が失われています。 さらに太陽の表面では太陽の大気が太陽風として飛び出していきます。 これらにより太陽質量は一定ではなく時間とともに減少していくことになります。 推計では太陽質量の減少のうち 7 割ほどが電磁波としての放射に対応し、残りのほとんどが太陽風によるものです。 また正体不明の暗黒物質の候補のひとつであり、その存在が予測されているアクシオンが、質量の減少に少なからず寄与する可能性があるとされています。 全体で失われる質量は 1 秒あたり 600万 t 弱と見積もられています。

太陽質量は十分に大きいため、これは1年に換算して太陽質量がおよそ 10兆分の 1 減ずるだけでなのですが、長期的には天体の動きに無視できない変化をもたらします。 太陽質量の減少は、同じだけの太陽からの重力の減少を意味するので、惑星の軌道は太陽質量に反比例して大きくなり、公転周期は太陽質量の 2 乗に反比例して長くなります。 計算上、地球の軌道はこれによって 100 年で 1.5 m ほど増大します。 一方、公転周期のずれによる天体の位置のずれは公転ごとに積算していくため、わずかなずれであっても非常に長い時間には目に見えるずれとして現れることになります。

さらに長期間を考えると、太陽質量の減少は惑星の運命ともかかわってきます。 太陽が赤色巨星となるとき太陽の半径は最も拡大したときで現在の地球の軌道の 1.2 倍になります。 一方で減少する質量の割合も急増して、惑星は大幅に太陽から離れた軌道へ追いやられます。 水星や金星は太陽に飲み込まれ中心へと落下していくものの、はたして地球がその運命を避けることができるかどうかについては議論が続いているところです。